PostfixとDovecotの組み合わせでメールサーバを構築するのはよく見かけるのだが、
Virtual Domainを扱うようにしようとしたら手間取ってしまった。
選択肢がいくつもあるので、どうしたいのかを明確にしないと作業に取り掛かれない。
- 単なるaliasでは不足なのか。
- Virtual Domainとリアルなドメインと、ユーザーを共通にするかどうか。
- Virtual Domainのユーザーはどう管理するのか。
- Virtual Domainのユーザーのメールボックスはどこに置くのか。
方針として、
- リアルなドメインとVirtual Domainは別にする。
- Virtual Domainのユーザーはマシン上のアカウントとは別にする。
- Virtual Domainのユーザーは、取りあえずリストアップしてファイルで管理。
- Virtual Domainのユーザーのメールボックスは、マシン上に1つ用意したアカウントの下に配置する。
PostfixとDovecotで設定を揃える必要があることを念頭に置きつつ、まずはVirtual Domain用のアカウントを作成。ログインする必要はない。pw useraddでuidやgidを明示して作成してみた。
次。Postfixの設定。main.cfに追加。
# Virtual mailbox
virtual_mailbox_domains = Virtual Domain。複数あるときはスペースで区切って。
virtual_mailbox_base = Virtual Domainのユーザーのメールボックスの置き場。
virtual_mailbox_maps = hash:/usr/local/etc/postfix/vmailbox
virtual_minimum_uid = 100
virtual_uid_maps = static: Virtual Domain用に用意したアカウントのuid
virtual_gid_maps = static: Virtual Domain用に用意したアカウントのgid
virtual_alias_maps = hash:/usr/local/etc/postfix/virtual
Virtual Domainのメールボックスは/usr/local/etc/postfix/vmailboxで指定し、 Virtual Domainのメールエイリアスは/usr/local/etc/postfix/virtualで指定する。
vmailboxの中身。
メールアドレス メールボックスの位置をメールアドレスの数だけ並べる。メールボックスの位置は、例えば Domain/User のように。 Maildir形式を使うときは、 Domain/User/Maildir/ のように、Maildirまで指定する。
@ドメイン名 メールボックスの位置とすれば、ユーザー名が存在しない場合のメールボックスを指定できる。
virtualの中身。
メールアドレス 転送先のメールアドレスを必要な分だけ並べる。postmasterも設定を忘れずに。
次。dovecot。
ユーザーの管理はファイルで行うので、ユーザー認証はpassdb passwd-fileとuserdb passwd-fileで行う。
passdb passwd-fileはデフォルトでは2箇所にコメントアウトされた状態で書かれているので、passdb pamの後に出てくるエントリを生かす。argsにはdovecotで使うパスワードファイルを指定する。例えば、args = /usr/local/etc/dovecot.passwd
パスワードファイルの各フィールドは/etc/passwdと同じ。ただし、
- パスワードが入るフィールドはdovecotpwの出力を使う。
- uidとgidはVirtual Domain用のアカウントと同じものにする。
userdb passwd-fileも、passdb passwd-fileと同様にする。
以上で準備完了。設定を行ったマシン上でVirtual Domainのアカウント宛にメールを送って動作確認を行う。問題がなさそうであれば、MXのエントリを書き換えて運用開始。
詳しくはサバカン日記+::postfixとdovecotでバーチャルドメイン(バーチャルメールボックス構築編)壱やPostfix Courier-Imap バーチャルドメインの設定を参照。
Wanderlustではアカウント名にdomainを含むとき、%を使うので、dovecot.confに
auth_username_translation ="%@"
を入れておくとよい。