本当の対象読者
ピープルウエア(ピープルウェアではないのね)は、コードを書く人がどういった職場環境を求めているかを鋭く指摘した本である。いわゆるエンジニア向けの本に分類されているが、実は、総務や人事といったスタッフ部門、あるいは、マネージングする立場の人間が読まなければならない一冊である。
生産性を下げる要因
スタッフ部門の使命は何だ?
- 業務が円滑に進むようにすること
- 社員が働きやすい環境を作ること
基本的に、スタッフ部門はコスト部門である。利益貢献を求められた場合、自分たちのコストを切り詰めるか、会社としての支出を削減することを考えるだろう。でも多くの場合、これらは直接収益を上げる部門に対して、
- 本来スタッフ部門で対応すべき仕事を押し付ける
- コスト削減という名の下に職場環境を悪化させ、作業効率の低下を招いている
生産性を比較
この本はいろいろとすごいのだが、その1つとして、実際に生産性を測定しているのがすごい。こういった測定は、プログラマーだけではなく、集中してフロー状態になる必要がある職種全部でやってもらわないと、「気むずかしくて文句の多い、面倒な人種」とプログラマーが思われてしまう。ま、フロー状態になる程集中して仕事したことのない奴が偉そうにしている日本では、測定結果を突きつけたところで変わるとは思えないのだが。
コードを書きやすい環境の会社かどうかを探る
転職活動に必ずある採用面接。1回目の面接では、人事・総務の人間が同席している or 面接官であることが多い。ピープルウエアを読んだかどうか、質問してみよう。質問ネタ1件だ。
人事・総務の人間は、従業員側の社員ではなく、会社側の社員だ。だから、「会社として」何を問題にしてどうしようとしているのかが聞けるはずだ。
果たして、コードを書きやすい職場になっているか?そういった職場にしようとしているのか?見落としがちだが、結構重要なことではないだろうか。
ピープルウエア 第3版 第1章 今日もどこかでトラブルが 第2章 チーズバーガーの生産販売マニュアル 第3章 ウィーンはきみを待っている 第4章 品質第一……時間さえ許せば 第5章 パーキンソンの法則の改訂 第6章 ガンによく効く?「ラエトライル」 第II部 オフィス環境と生産性 第7章 設備警察 第8章 プログラムは夜できる 第9章 オフィス投資を節約すると ちょっと休憩 インテルメッツォ 第10章 頭脳労働時間 対 肉体労働時間 第11章 電話、電話、また電話 第12章 ドアの復権 第13章 オフィス環境進化論 第III部 人材を揃える 第14章 ホーンブロワー因子 第15章 リーダーシップについて話そう 第16章 ジャグラーを雇う 第17章 他者とうまくやっていく 第18章 幼年期の終わり 第19章 ここにいるのが楽しい 第20章 人的資産 第IV部 生産性の高いチームを育てる 第21章 全体は部分の和より大なり 第22章 ブラックチームの伝説 第23章 チーム殺し、7つの秘訣 第24章 続、チーム殺し 第25章 競争 第26章 スパゲティディナーの効果 第27章 裃を脱ぐ 第28章 チーム形成の不思議な化学反応 第V部 肥沃な土壌 第29章 自己修復システム 第30章 リスクとダンスを 第31章 会議、ひとりごと、対話 第32章 マネジメントの究極の罪 第33章 E(悪い)メール 第34章 変化を可能にする 第35章 組織の学習能力 第36章 コミュニティの形成 第VI部 きっとそこは楽しいところ 第37章 混乱と秩序 第38章 自由電子 第39章 眠れる巨人よ、目を覚ませ