Appleはリスクを背負っているから、妥協せずに細部までこだわるし、それがユーザの満足に繋がっているのだ。
アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのかは、対サムソンの部分はApple贔屓の、サムソンの印象が悪くなるような言葉の選択があるものの、どうしてAppleにはできて日本の電機メーカーにはできないかの理由(の一部)が明らかにされていると思う。
iPhoneやiPadを始めとする(物理的な)製品へのこだわり。Apple自らが製造機器を購入し、加工工場に貸し出すというのは驚いた。が、確かに、このスタイルでなければ製品に対する想いを型にはできない。加工工場がボトルネックになってしまうからだ。想いを具現化するために妥協はしない。だから、製品を購入したユーザーも満足し、次の製品により大きな期待をするのだろう。
自分が欲しい物を妥協せずに作る。だから、ボタンを押した感触や、操作感も妥協せず、製品として、サービスとして、統一されている。デザインは見てくれではなく、統一されたUX(ユーザー体験)だと考えているからこそ、デザイン重視といっても薄っぺらい製品にはならないのだ。
そして、「自分=開発者」ではなく、「自分=製品を使うユーザー」であるから、誰が使うんだ?というような製品にはならない。そんな、ターゲット不在の製品を作っている日本のメーカー。現場の問題ではなく、そんな製品企画にGoを出す経営陣が問題だろう。経営陣こそボーナスの一部を自社製品の現物支給とし、家族の容赦無い批判を受けて、ユーザーの目線を学ぶべきではないのか?
「いいものが売れる」なんてのは、作り手の思い上がりなのだ。現実はもっと簡単で、「欲しがるものが売れる」のだ。だから、小耳に挟んで、お店で見てみて触ってみて、買って帰って箱から出して、使ってみる、といった一連の行動に対して、「欲しかったのはこれでしょ?」とアピールすることが重要なのだ。「そうそう、これが欲しかったんだよ」と満足できたものが、その人にとっての「いいもの」であり、「いいもの」とはそういう意味なのだ。そして、「いいもの」を伝えるために、Appleはユーザーが製品を買うお店の「デザイン」や、箱から出すときの演出までこだわった。だから、製品がこれだけ熱狂的に受け入れられているのだろう。
最後に、購入したのは第一版第一刷だけど、ちょっと校正がという部分があった。全く同じ文章が二箇所にあったのだけど、もう直っているのかな?
【第1章】ジョブズにとってデザインとは何か? アップルのデザイン活性型経営 コラム1 ジョブズだからできた究極のシンプル 【第2章】分解して分かるアップルデザインの真髄 分解・解剖!iPhone4S の内部構造 アルミニウムの使いこなし方に驚く! 樹脂にも独自の工夫を加えるアップル 【第3章】触れてうっとり、インターフェースの秘密 ジョブズ自身が未来のユーザー役に 識者に聞くアップルのインターフェース (1)長谷川踏太「広告以上にブランドメッセージを伝えている」 (2)増井俊之「開発現場にも届く、強いリーダーシップを」 【第4章】アップルストアに挑んだ日本人デザイナー 感動を共有するスペースデザイン コラム2:デザインのためなら流通でも戦う コラム3:量販店的な売り方に満足しないなら 【第5章】アップルの広告・グラフィックデザイン ジョブズのセンスが光るもう1つの歴史 コラム4:時代を経ても変わらぬアップルの広告 ショートインタビュー 猪子寿之「ネットワーク中心の社会を見据えた思想」 コラム5:750 枚のタートルネック・シャツ 【第6章】革命の始まりはiMacだった インタビュー ジョナサン・アイブin 1999 ショートインタビュー 藤崎圭一郎「体験を変えたアップルのデザイン」 【第7章】アップルが争っても守りたいデザイン GALAXY は果たして模倣なのか? サムスンの逆襲! 第1ラウンドは痛み分けの結果に こんなにある!ジョブズ名義のデザイン特許 ショートインタビュー 山中俊治「モノが実現するユートピア」 【第8章】ジョブズが夢見た未来のデザイン アップルTVとリモコンさえあれば… ドッキングステーションにこだわる理由 ユニバーサルドックも変形する ジェスチャー入力でボタン不要の世界へ スタイラスペン入力もあり! ショートインタビュー 坂井直樹「iCar は生まれるか?」 コラム6:iCloudとSiriに見るアップルの夢